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親が認知症になった場合の信託の利用

 


最近、続けて問い合わせがあったのですが、

『親の介護費用が高額で、親の自宅を処分して介護費用に充てようと思っていたが、親が認知症のため、自宅の売却ができなくて困っている(つまり「○○さんに売却する」といった意思表示ができない状態にある。)、または将来困るだろう。』

という相談がありました。

 認知症になる前の対策として、親から子へ自宅を贈与すれば贈与税がかかり、親が子に売却すれば親には所得税がかかり子は購入資金を用意しなければならない、という問題点があります。

 この場合の手立てとして、「信託」という不動産登記の手続きが最近注目されています。

 相談事例の場合、親と子が自宅の有効活用を目的とした「信託契約」を締結し、自宅の名義をあらかじめ親から子へ所有権移転登記をしておくと、子は信託契約の目的に則って、自宅を貸したり売却したりといった処分行為をすることができます。(この場合、貸したり売却したりして得た収入が親に入るように契約内容を定めておくことになります。)

信託契約に於いては、この相談事例の場合、親を「委託者」、子を「受託者」、信託により発生した利益を得る親を「受益者」、といいます。

「信託契約」による所有権移転登記は形式的な譲渡であるため、「売買」の場合の時に必要な所得税や不動産取得税はかかりません。

 「信託契約」には、公正証書の作成と不動産登記のために、一般的に以下の書類が必要です。
  親と子の印鑑証明書(3ケ月以内のものを複数)
  子の住民票
  不動産の全部事項証明書
  固定資産税納税通知書
  金銭や銀行口座についても信託する場合はその資料
  その他(契約内容に拠る)

 またこの「信託」は不動産だけでなく、法人の代表権などにもつけることができます。社長が事故などで意識がなくなったり、判断ができなくなったり、代表者としての行動ができなくなった場合、その法人の機能が止まってしまわないように誰かに代表権を信託することができます。

 

 

 (2018年1月記載)

 

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