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直系尊属から住宅取得等資金の贈与税の非課税(令和5年12月31日まで)

 

【1】内容
令和5年税制改正で特例による贈与税の非課税規程の以下の2つが延長されました。


(1)直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、一定の措置を講じた上で、その適用期限が3年延長されました。(令和8年3月31日の贈与まで

(2)直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、受贈者が 50 歳に達した場合等において、非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額に贈与税が課されるときは、一般税率を適用することとした上、その適用期限が2年延長されました。(令和7年3月31の贈与まで

 

住宅取得資金贈与の非課税の特例は令和4年度改正で令和5年12月31日の贈与まで延長となっています。

その内容を以下で確認します。

 

【2】直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置等の改正(令和4年度改正)

(1)改正前の制度の概要
 直系尊属(父母、祖父母、養父母等)からの贈与により住宅用家屋の新築、取得又は増改築等のための金銭(以下 「住宅取得等資金」といいます。)の取得をした、受贈者(贈与者の子や孫で20歳以上であることやその年の合計所得金額が2千万円以下であるなどの一定の要件を満たす必要があります。以下「特定受贈者」といいます。)が、次の(A)から(C)までのいずれかの要件を満たす場合には、その贈与により取得した住宅取得等資金のうち500万円から1,500万円までの金額については、贈与税の課税価格に算入しないこととされていました。

なお、この特例を受ける旨の贈与税の申告が必要です。

 

(A)新築住宅
住宅取得等資金を贈与により取得した年の翌年3月15日までにその住宅取得等資金の全額により住宅用家屋を新築するか、建築後使用されたことのない住宅用家屋を取得し、その日までに特定受贈者の居住の用に供していること又はその日後遅滞なく特定受贈者の居住の用に供することが確実であると見込まれること。
※その住宅については、床面積が40㎡以上240㎡以下であることなどの一定の要件があります。

 

(B)中古の住宅
住宅取得等資金を贈与により取得した年の翌年3月15日までにその住宅取得等資金の全額により中古住宅(建築後使用されたことのある住宅用家屋で一定のもの。)を取得し、その日までに特定受贈者の居住の用に供していること又はその日後遅滞なく特定受贈者の居住の用に供することが確実であると見込まれること。
※住宅について、床面積が40㎡以上240㎡以下であることや築年数、耐震基準などに一定の要件があります。

 

(C)増改築等の場合
住宅取得等資金を贈与により取得した年の翌年3月15日までにその住宅取得等資金の全額を特定受贈者が居住の用に供している家屋の増改築等の対価に充てて増改築等を行い、その日までに特定受贈者の居住の用に供していること又はその日後遅滞なく特定受贈者の居住の用に供することが確実であると見込まれること。

 


(2)改正の内容
(A)期限の延長
この特例の適用期限が令和5年12月31日の贈与までに延長されました。
なお、令和6年度以降も延長されるかどうかは今のところ決まっていません。


(B)非課税限度額の見直し
非課税特例の適用の前提となる贈与が契約締結日基準から受贈日基準に見直されるとともに、非課税限度額が次のとおり見直されました。



改正前

改正後

契約の締結日非課税限度額贈与を受けた日非課税限度額
住宅資金非課税限度額

令和2年4月1日〜令和3年12月31日 良質な住宅1,000万円令和4年1月1日〜令和5年12月31日 良質な住宅(※)1,000万円
一般の住宅500万円 一般の住宅500万円
特別住宅資金非課税限度額(住宅の消費税率が10%の場合に限る。)

令和2年4月1日〜令和3年12月31日 良質な住宅1,500万円廃止(通常は住宅の消費税率は10%であるため)    
一般の住宅1,00万円

(※)「良質な住宅」とは、次の(イ)から(ハ)の省エネ等基準のいずれかに適合する住宅用の家屋であることにつき、住宅性能証明書など一定の書類を贈与税の申告書に添付することにより証明されたものをいいます。

(イ)断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上であること。

(ロ)耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物であること。

(ハ)高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること。


(C)中古住宅の範囲の見直し
改正前の経過年数基準を満たさない築古住宅であっても、新耐震基準施行後に建築された住宅であれば、一般的な建築物の供用期間の範囲では、当初有し ていた構造耐力上の性能があるものと考えられているなどの理由により、良質な中古住宅の流通促進の観点から基準を一本化することとされました。中古住宅である場合の要件の1つとして定められていた経過年数基準(耐火建築物:建築後25年以内、非耐火建築物:建築後20年以内)が廃止され、これに代わり新たに昭和57年1月1日以後に建築されたものであることが要件とされました。


(D)受贈者の年齢要件の改正  
民法の成年年齢の改正を踏まえ、受贈者の年齢要件の下限が20歳から18歳に引き下げられました。

 

(3)その他
(A)贈与財産の加算
この特例を受けた贈与は、贈与者が亡くなったときの相続税の申告での暦年贈与加算(※)はされません。
(※)相続等により財産を取得した人が、被相続人からその相続開始前3年以内に暦年課税に係る贈与によって取得した財産があるときには、その人の相続税の課税価格に贈与を受けた財産の贈与の時の価額を加算します。

 

(B)特別受益
この特例を受けると贈与税が非課税となります。
しかし、税金とは別の話になりますが、住宅資金の贈与は通常は特別受益とみなされます。
特別受益とは相続人が、被相続人から生前に贈与を受けたり、遺贈(遺言により財産をゆずる)を受けた場合、その受けた利益のことをいいます。
特別受益を受けた相続人と受けなかった相続人では不公平が生じますので、その特別受益を残された相続財産に合算して、各相続人の具体的相続分を計算し、不公平を解消します。
相続財産に特別受益を加算することを、「特別受益の持ち戻し」といいます。
また、遺言でこの「特別受益の持ち戻し」をせずに、残った財産だけで遺産分割をするようにと相続人にお願いする、「特別受益の持ち戻し免除」というものもあります。

 

【参照】

財務省資料、国税庁資料、その他。

 

 (2023年6月記載)

 

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